聖書の言葉 幼稚園保護者向け

2023年3月までの文章は菊池牧師、2023年4月からは小林美恵子牧師による文章です。

2013年 11月

「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。」 
(フィリピの信徒への手紙4章6節)

 私が愛読している一冊の本があります。聖心会シスターの鈴木秀子さんが記した『神の業は現れる』という本です。今月の御言葉を読みながら頭に浮かんできた一冊です。著書の中にこんな文章があります。『私たちは、何か辛いことが起こったりすると、自分がどんな悪いことをしたのだろうとか、あんなバカなことをしたから、こんなことが起こったのだと自分を責めます。それでも納得がいかないと、誰かのせいにしようとします。自分を責めると、自分の中にある二つの力がぶつかり合います。自分を責めているときのことを考えてみてください。「何か失敗した」「どうしてあんなことをしてしまったんだろう」と考える時、もう一人の自分は「いや、だってあのときは仕方がなかったんだ。あのときはあれしかできなかったんだ」と、一生懸命、弁解しています。すると、自分との葛藤が始まります。これを、私は「分裂が始まる」と言っています。』この文章の中に、私たちが悩む時の心の状況が明らかにされています。つまり、悩みとは心が一つになっていないということです。一つになっていないとは不安定だということです。思い悩み、上手に解決出来ていない状態。長い間、悩みが解決出来なかったりしますと、自分のエネルギーがどんどん下がっていって、考えるのも億劫となり、上手に頭が回転しなかったりすること、あるのではないでしょうか。
一体どうしたら良いのだろうか?と、あたかも自分の人生が立ち止まってしまったかのように感じるかもしれません。そんな思いに鈴木秀子さんは「苦しみ、辛さと戦うと分裂が始まります」と説明します。だから「戦わないで、受け入れることです。」と説明します。そのままを受け入れていくと楽に生きられる。私はこの言葉を深い思いで心に治めています。それでも、私はもしかしたらまだ若いのでしょうか。受け入れるよりは、笑って吹き飛ばしてしまえ!立ち止まるよりは、歩き続けろ!分裂する心なんか、捨ててしまえ!という思いもかなりあります。
いずれにしても「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい」と聖書は記しています。思い煩いは確かに「心が分裂した状態」です。自分の中に二つの心があると疲れます。思いが二つあると、身動きが取れません。動けないのは大きな苦痛が伴います。人は受動的に生きるよりは、能動的に生きる方が疲れません。身動きが取れないなら、動かせるところだけでも動かしましょう。数年前、私は足を骨折しましたが、手術後、二日目からリハビリが始まり驚きました。現代の医学は出来るだけ早く動かした方が、早く治って後遺症も少ないと考えているようです。心のリハビリも遅いよりは早い方が良いと私は思います。悩み続けるよりは、誰かに相談しましょう。動ける所はしっかり動かしましょう。そうすればいつかは全体が動いてくるはずです。
人生は一度きり、私たちの人生はリハーサル無しの、いつでも本番です。あなたはその主人公です。どのようにしてあなたの人生の主演を生きますか?「思い煩う」時間、勿体ないかもしれませんよ。さあ、笑顔で励んでいきましょう。