聖書の言葉 幼稚園保護者向け

2023年3月までの文章は菊池牧師、2023年4月からは小林美恵子牧師による文章です。

2016年 4月

「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」                                    
                 (マタイによる福音書14章27節)
 
新しい一年が始まりました。これから一年、宜しくお願いします。

聖書を読んでいますと、時として「奇跡」とも言われる主イエスの働きを読むことがあります。例えば今月の御言葉がそうです。弟子たちが湖を舟で渡っている時、嵐に遭い、波に悩まされている場面で、イエス様が水の上を歩いて弟子たちの所に向かってきたというのです。この話の前の箇所には、僅か二匹の魚と五つのパンで五千人の人々の空腹を満たして下さったという話が記されています。

僅かな食料で、大勢の人々が満腹することがあり得るのか?果たして人が湖の上を歩いて渡れるのか?
聖書を読むと、どうもウソっぽい事柄が書かれてあって、そこが信じられない、という方もおられます。本当にはありそうもない話を信じるなんて…、と思われる方もおられるでしょう。

確かにその通りだと思います。でも、それだけではないと私は思います。聖書を読むには一つのコツのようなものがあると思います。例えば、私は10年程前に、水泳を本格的に始めようとした時期がありました。でも最初にプールに行かないで本屋に行って、「クロールと平泳ぎの上手な泳ぎ方」というDVDを購入して、家に帰って何度も何度もビデオを見ていました。見れば見る程、頭の中だけで「なるほど」と思うのですが、実際に上手くなったかというと、泳いでいないわけですから、一つも上手くなりません。「あなたはいつも本から入って、準備して終わる」と家内から厳しい一言があったのを覚えています。
つまり、頭で理解していたつもりでも、本当には何もわかっていないのと同じことです。実際にプールに行って、泳いでこそ、初めて泳ぎのコツや意味がわかるというものです。

聖書もそんな感じといいますか、実際に読んでみることが必要です。わからなくても、理解出来なくても読み続けていくうちに、聖書は何を語りかけているのか?がだんだん分かってくるのだと思うのです。

それは「奇跡」を信じられるようになる、というよりは、聖書が伝えたいものは何かを理解出来るようになるということです。水の上の上を歩くイエス様の姿に目を取られるのではなく、次に出てくる大切な御言葉「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」という言葉が目と頭に入ってくるのです。

この言葉は、舟の上で翻弄されて、今にも嵐に飲み込まれそうになっていた弟子たちに対して話された御言葉です。次の波に飲み込まれてしまうのではないかと恐れ戦いていた弟子たちに対して話された御言葉です。そして、この御言葉は弟子たちだけでなく、現代を生きる私たちにも語りかけて下さるイエス様の御言葉なのです。すなわち、例えば、私たちの「人生の危機」、「生きる悩み」、「誰にも話せない苦しみ」といった心の奥に持っている苦悩に響き渡る御言葉として受け止める時「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」という言葉は、どんなに私たちを安心に導くことかと思うのです。

だから皆さん、この言葉を忘れないで下さい。しかも、イエス様は、水の上を歩いて渡ってこられるように私たちの想像を遥かに超えて、全く思いがけなく、しかし、確かに私たちの人生に関わりを持って下さいます。

そんなイエス様の優しさに触れながら、子ども達もご家族の皆さんも、みんなが笑顔で、安心の人生と、安心の人生観を心に成長させながら、これからの一年を一緒に生きて参りましょう。