聖書の言葉 幼稚園保護者向け

2023年3月までの文章は菊池牧師、2023年4月からは小林美恵子牧師による文章です。

2016年 2月

「正義は国を高くし、罪は民をはずかしめる。」             
           (箴言14章34節)

 2月11日は祝日ですが、由来は「古事記」や「日本書紀」に記される初代天皇神武天皇の即位日だからとなっているようです。第二次世界大戦後、政治家は、この日を「建国記念日」として制定し、日本という国を愛する気持ちを大切にする日と制定しました。この制定については議会に9回法案が提出され、その都度却下され、最終的には殆ど強引に制定された経緯があるようです。
 
 なぜ、制定が難しかったのか?戦争を起こした時、国は様々な宗教や思想に制限を加え、国民の心を強制的に一つにしようとしました。但し、【神道、すなわち天皇制は宗教ではない】という教えの中で、あたかも天皇が神のようになり、国民は天皇、お国の為に命をも惜しまないことが美徳であり、それが正義であると教育されました。当時、子どもも大人もそのように教わり、その通りであると信じ、多くの命が失われ、悲劇を重ね、敗戦を迎えたという苦い経験をしていましたので、再び「国を愛する日」を制定することに恐れや、不安、強い拒否反応や抵抗があったものと思われます。

 現在でも、キリスト教をはじめとする、様々な宗教団体や思想組織は、2月11日を複雑な思いで迎え、自分達の信仰や自由が阻害されない為にも、「信教の自由を守る日」として集会を行います。
さて、皆さんはどんな気持ちで2月11日を迎えられるのでしょう?あまり、深く考えないかもしれません。私は牧師ですし、先の大戦の際、教会の牧師であるというだけで捕えられ、拷問され獄死していった方々の話を何度も聞いていますので、やはり複雑です。

 とはいえ、それでは国を愛さなくて良いのか?という問いもあります。私自身これまで何度か海外に出かける機会がありましたが、どの国に行っても官庁は当たり前ですが、ホテル、デパート、主要な観光地、大通りなどに、ズラリと国旗が掲げられている光景を何度も見ました。とても風景に馴染んでいて、自分達の国を愛する国民がいることを強く感じることが何度もありました。自分が産まれた家庭や家族を愛するように、その住んでいる地域を愛するように、自分の国を愛する気持ちがあるのです。日本はどうでしょうか。そんな思いで自分の国を愛する気持ちがしっかりと育てられているでしょうか。その逆にやっぱり愛する気持ちにはなれないと思っているでしょうか。

 私たちは、どうも子どもの頃から、戦後教育の中で国を愛することとか、信教の自由が大切とか結局のところ殆ど何も教わって来ませんでした。その代償として、私たちの心は「確かな拠り所感」に乏しく、「人を見ながら、自分の立ち位置を決める」ことばかりであったとも言えます。だから今、私たちに求められていることは揺るぎのない、ブレない心であり、同時に、人を愛する心であり、赦しあう心であろうと思うのです。その為にも、「正義は国を高くする」、その「正義」は国の正義ですが、人の国というよりは、神の国の正義であって欲しいと願います。一つの国の正義は他の国を悪にする恐れがあります。全ての国を正義にするためには、どうしても神の国の正義が必要です。そこにこそ、本当の平和があるからです。そのような心を持つことによって、より心から自分達の国をも愛せるのではないかと思うのです。

 因みに、私はやっぱり日本が大好きです。だって、愛する家族や皆さんがいるのですから。