聖書の言葉 幼稚園保護者向け

2023年3月までの文章は菊池牧師、2023年4月からは小林美恵子牧師による文章です。

2022年 9月

「また、ほかの種は良い土地に落ち、芽生え、育って実を結び、

あるものは三十倍、あるものは六十倍、あるものは百倍になった。」

(マルコによる福音書4章8節)

 今月の御言葉は、イエス様のたとえ話です。種を蒔く人が種蒔きに出かけました。蒔いている間に、ある種は道端に落ち、鳥が来て食べてしまいました。ほかの種は石だらけで土の少ない所に落ち、そこは土が浅いので、すぐ芽を出しましたが、日が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまいました。ほかの種は茨の中に落ちました。芽が出て成長しても、茨が覆いふさいだので実は結べませんでした。ほかの種は良い土地に落ち、芽生え、育って実を結び、あるものは三十倍、あるものは六十倍、あるものは百倍にもなりました。そして、イエス様は「聞く耳のあるものは聞きなさい」と言われました。

 このたとえ話は聖書の中でもよく知られているたとえ話です。種は神様の御言葉です。畑は私たちです。良い畑に蒔かれた種は豊かな収穫を得るとイエス様は教えられました。

 このたとえは、色々な適応ができると思います。ドレーパー記念幼稚園は、昨年夏にスタートした園舎建築が完成し、2学期から新しい園舎での生活となりました。新園舎は言わば良い土地です。全てが新しく全てが新鮮です。この場合、子どもたちを種と捉えることも出来ます。種としての子どもたちが元気に、健やかに成長して欲しい、誰もがそのように願っています。その為の新園舎建築でもありました。

 でも、確かな成長を望むには園舎が新しくなっただけでも足りません。私は8月、家族4人で山梨に桃狩りに行って来ました。大きな美味しい桃の実りを見て驚く程でした。山梨の知り合いに聞いたら桃の確かな実りを得るために、桃農家は毎日朝から晩まで桃の木の手入れをしているそうです。太陽の光、雨といった自然環境から良いものを得るだけでなく、草取り、肥料、虫よけ等、毎日の丁寧な世話が確かな実りをもたらすそうです。

 その通りだと思います。子どもたちが毎日元気に豊かに成長していくために、ご家庭の皆さんも幼稚園も私たちの思いが一つとなって進んでいけたらと願っています。

 特に、種から芽が出て成長し根が伸びて、ひとまず安心となるまでの時期がどの時期よりも大切なのは言うまでもありません。人間の成長も小学校に入る前の段階、子どもたち自身にはあまり記憶として残らないかもしれない3~6歳の時期がその人の成長を支える土台となると思います。この年齢の時期に、戦争が無く、食料の不安が無く、安全に過ごせる私たちの国に生まれたというだけでも幸いですが、更に家庭が笑顔に満ち、友達に恵まれ、大人に受け入れられ、自分は愛されていると感じながら育った子どもたちは、どんなに幸いであろうかと思います。

 今の時代、多くの大人も子どもも、「自分は自分で良くない」と感じている人が大勢います。自分自身の人生を確立しきれない人が大勢います。そのような中で、「自分は自分で良かったな」と思える心が育まれ、希望と笑顔をもって生きていけるように、そして、自分が思い描いた人生を遥かに超えて、30倍、60倍、100倍もの実りがもたらされるように、親として、また、幼稚園として子どもたちの命と笑顔を守り皆が協力し合いながら、神様に守られて秋に向かう9月を過ごして参りましょう。