聖書の言葉 幼稚園保護者向け

2023年3月までの文章は菊池牧師、2023年4月からは小林美恵子牧師による文章です。

2018年 1月

見よ、わたしはあなたと共にいる  創世記28章15節
                                 
 新年、おめでとうございます。2018年が始まりました。1月の聖書の御言葉は「見よ、わたしはあなたと共にいる。」です。この言葉は旧約聖書創世記に記されています。創世記にはユダヤ教キリスト教イスラム教からも「信仰の父」と呼ばれるアブラハムが登場します。アブラハム夫妻が願って、願って、与えられた独り子がイサクでした。イサクには双子が誕生します。エサウヤコブと言います。双子ですが、エサウが長男、イサクが次男です。長男と次男の最大の違いは、長男だけが父親の財産を受け継ぐ権利があったということです。ですから、双子でしたがエサウだけが財産を受け継げたのです。ところが、家族のそれぞれの思惑も絡み、父親のイサクは長男のエサウに家を継がせようと思っていましたが、母親のリベカは次男のヤコブにと願っていました。そこでヤコブとリベカは相談して、年老いて目が見えなくなってきていたイサクをだまし、「わたしがエサウです」と言って信じさせ、ヤコブが、長男にだけ与えられる祝福を受けてしまいます。そのことを知ったエサウは激怒して、いつか、弟のヤコブを殺してやろうとさえ考えるようになり、ヤコブはリベカに勧められて、止む無くお嫁さん探しという口実で旅に出ることになります。

 その旅の途中、ハランという場所で野宿をしていた時に、ヤコブは夢を見ます。その夢で主なる神が現れて「わたしはアブラハムの神、イサクの神、主である」と告げるのです。そして「見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこに行っても、あたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」と告げました。すなわち、長男として受け継いだ祝福は取り消されることなく、しっかり活きていて、ヤコブが大いなる神の祝福を受けるのだと神が伝えて下さったのです。この出来事にヤコブはとても力を得て、それからの長い旅の人生を力強く生きて、その後、20年以上経ってから、父イサクの土地へ戻ることになります。その時、既に、ヤコブには12人の子どもたちがいて、この子どもたちがイスラエル民族の基となっていくことになります。

 皆さん、「感情免疫力」という言葉をご存じでしょうか。私たちは心で生きています。心の感情で生きています。感情は時に、自分でも思いがけない行動に向かわせたり、コントロールするのが難しかったりします。特に相手の行動や言語によって、自分の感情が大きく変化してしまうと思っている方、案外多いのではないでしょうか。夫や、妻や、家族や、友人の顔色に必要以上に気を使っているなと思っている方、多いのではないでしょうか。すぐ怒る人とか、イライラする人の感情に引きずられたり、振り回されたりしている方、多いのではないでしょうか。でも後でよく考えてみると、自分にはなんの関係も無かったり、相手は自分に対して何も思っていなかったことがわかってホッとしたりする経験があるのではないでしょうか。他人の感情に振り回されないように心がけることを「感情免疫力」を強めると言うようです。

 ヤコブが、エサウや、父イサクから非難されて、傷心で旅立ちましたが、そこに主なる神がおられて、「見よ、わたしはあなたと共にいる。」と告げた時、ヤコブは自分をしっかりと取り戻しました。私を造られ、命を与えて下さった方が、私と共におられる。そう信じられるなら、あなたは大丈夫です。何があっても主がわたしと共におられる。安心して「感情免疫力」を強めて、この2018年も過ごして参りましょう。