聖書の言葉 幼稚園保護者向け

2023年3月までの文章は菊池牧師、2023年4月からは小林美恵子牧師による文章です。

2021年 5月

「神は愛です。」   (ヨハネの手紙一 4章16節)

 最近、エッセーのような小説を読みました。その中にフランスに住んでいるエッセイストの女性が登場します。フランス人の彼がいて、毎日のように「愛している」と言われていました。でも日本人の彼女は、日本人は滅多なことでは「愛している」とは言わないのに、と少々ウンザリ。あることがきっかけとなり、決意して彼と別れたことにしようと、黙って日本に帰って来てしまいました。それで全てが終わったと思っていました。

 それから5年後、彼女は「日本人は滅多なことでは愛しているとはいわない」といった内容のエッセーを本に載せます。すると、フランス人の彼から連絡が入ります。黙って帰国した彼女を追って日本まで来て、語学教師をしながら彼女を長く探し続けていたことが判明するのです。彼はエッセーを読み、ペンネームで名前は違うけれど、彼女だと確信して、出版社に連絡を取ってついに再会の運びとなるのです。

フランスと日本、大分距離もあり、言葉の感覚も違いますが、「愛」が本物なら心の距離がグン!と近くなり心の絆がつながるのでしょう。

 コロナ禍にあって、緊急事態宣言が延長されると報道されています。今年の1月、正月過ぎに緊急事態宣言が出され、それが3月末まで続き、終わって、ホッとしたのもつかの間、4月末からまた緊急事態宣言となりました。私達の地域はギリギリ宣言下ではありませんが、厳しい状況は少しも変わりません。GW中に、江の島に人が沢山集まり、心配な状況との報道もありました。緊急事態宣言慣れとか、コロナ疲れとか、とも言われています。問題点も沢山あると思いますが、行政と私達国民との距離の問題があるのではないかと、私は思っています。行政が本当に「愛」をもって、私達のことを考えているのだろうか?考えていないのではないのか?と思うと心の距離がどうしても遠くなるのです。どんなに綺麗な言葉を並べられても、本当には愛していないのでは?と思える人の言葉は、心に響いてはきません。ましてや、最初から愛を感じない言葉は全く持って力が無いのです。

 

 今月の聖書の御言葉は「神は愛です」です。短いです。二千頁もある聖書の中の五文字です。この言葉に聖書の内容が詰まっている、と言われるほどに大切な御言葉です。ですからそのままを受け止める方もいると思いますが、「神は愛です」だからどうした?となる方も多いと思います。流石にこの言葉だけでは、神様の愛の正体が響いて来ないと感じるからだと思います。

 この御言葉は「ヨハネの手紙」という箇所に記されています。ヨハネはイエス様の弟子で、イエス様から最も愛された弟子でした。レオナルド・ダ・ビンチの「最後の晩餐」ではイエス様のすぐ横に描かれています。迫害を受けながらも生き残り、生涯を主イエスの福音宣教の為に尽くした人でした。自分の命をかけても惜しくないと思える程に、イエス様の愛がヨハネの心を捕えていたのでしょう。 

 イエス様の愛を伝えずにはおられないとの思いでもって、ヨハネは「神は愛です」と記したと思います。「愛」は文字を越えて、人の心と、人の生き方に良い影響を与えます。「愛」は言葉を越えて、人を生かし、希望を与え続けます。神様の愛を受け入れ、家族にその愛を分け与えながら生きていけたらどんなに素敵でしょうか。