聖書の言葉 幼稚園保護者向け

2023年3月までの文章は菊池牧師、2023年4月からは小林美恵子牧師による文章です。

2018年 9月

「ザアカイは急いで降りて来て、喜んでイエスを迎えた」
               ルカによる福音書19章6節
 
 ザアカイという人がいました。この人は徴税人の頭でした。徴税人とは読んで字のごとく、人々から税金を集める人のことを言います。ただ聖書に登場する徴税人は、税金を集めて、自分達のユダヤの国ではなく、支配国ローマへ税金を収める仕事をしていたわけです。ローマは税金を集めるために、自分達が直接ではなくユダヤ人を使っていたわけです。ですから、ローマの手先とも見なされて、仲間のユダヤ人から嫌われていました。しかも財政的には、その仕事によって一般の人々よりずっと豊かな生活をしていたようです。つまり、尚の事、人々から嫌われていました。その頭ですから、ザアカイは最も嫌われていた一人と言っても良いでしょう。

 そんなザアカイが住んでいたエリコの町に、イエス様と弟子たちがやって来ました。人々は喜んで出迎え、イエス様を囲むようにして道に添って人々が集まって来ました。ザアカイもイエス様を一目見たいと思い道に飛び出したのですが、ザアカイは背が低かったうえに群衆が多く、さっぱりイエス様を見ることが出来ません。もし友達がいれば、「ザアカイ、さあ前に来て」という声もあったかもしれませんが、逆に人々はザアカイに意地悪をして、前に出さないようにブロックしていたのかもしれません。

 でも、ザアカイはそんなことでへこたれず、近くにあった桑の木に登りました。そして高いところでイエス様を見ることが出来たのです。ところがイエス様の方からザアカイに声をかけました。「ザアカイ、急いで降りて来なさい。今日はぜひあなたの家に泊まりたい」この言葉を聞いた人々は驚きました。ザアカイも驚きましたが、とっても喜びました。木から降りて、自分の家にイエス様を案内して、一緒に食事をしながら楽しいひと時を過ごしたと思います。そんな楽しさの中でザアカイは立ち上がって「主よ、わたしは財産の半分を貧しい人々に施します。また、だれかから何かだまし取っていたら、それを四倍にして返します」と告げたのです。その言葉を聞いたイエス様は「今日、救いがこの家を訪れた」と話し、とても喜びました。

 さて、ザアカイのザは、「財産」のザです。人は財産やお金があれば幸せだと思いますか?勿論、美味しい食事も食べられ、好きなことも出来るので幸せでしょう。でも、財産で友達は出来ません。ザアカイは友達がいませんでしたから、きっと寂しい人生を生きていたのではないでしょうか。

 ザアカイのアは「愛」のアです。そんなザアカイの所に、主イエスが愛をもって接して下さいました。これまで誰もそのように接してくれなかったのに、イエス様だけがそうして下さいました。愛こそが人を変える大きな力だと思います。

 ザアカイのカは、「感謝」のカです。ザアカイは主イエスとの愛のある交わりの中で喜び、感謝して、ついに自分の財産よりも大切なものを手に入れました。感謝出来る気持ち、どんなにか大切だと思います。

 ザアカイのイは「生きているっていいなぁ」です。ザアカイはこれまでどんなに頑張っても手に入れることの出来なかった、愛と感謝を体験し、そのような時を過ごし人生の充実とはこういうことかと思ったのではないでしょうか。私たちも主イエスとの出会いによって「生きているっていいなぁ」という気持ちを手に入れて過ごしていきたいものです。

 皆さんの9月も神様の祝福を祈っています。