聖書の言葉 幼稚園保護者向け

2023年3月までの文章は菊池牧師、2023年4月からは小林美恵子牧師による文章です。

2016年 11月

「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」                               (ローマの信徒への手紙12章15節)
先日、「君の名は」という映画を夫婦で見に行きました。息子が見て来てとっても良かったというので、それじゃいこうか。でも、普通に行くと1人、1800円なのですが、どちらかが50歳以上の夫婦だと1100円になるというのです。私たちはどちらも50歳以上の夫婦なので安心して見に行ったわけです。わかっているかと思いますが、お金の為に二人で行ったわけではありません。念のため。
ところで、私達の結婚生活もあっという間に20年が過ぎました。子供にも恵まれ、本当に幸いだと思っています。決して平穏とは言えないけれど、認知症の婆ちゃんと家族が一緒に食卓を囲むと、笑い声がこだまして、ついつられて婆ちゃんも笑ってくれるのです。そんな時は、ささやかだけど、心から幸せを感じます。そこで結婚生活の秘訣は何か?と聞かれてもいないのに答えますが、それは「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣く」ことではないかなと思うのです。
この間、三人の子ども達が、なぜか私の老後の話をしていていました。話す中で、下の娘が「お兄ちゃんにお父さんまかせると心配だから、私が面倒を見る。」と宣言していました。ありがたいなと思います。本当に老後になったらこの文章を見せたいと思います。因みに食卓の位置は、母親の横に息子、私の横に娘です。自然とそうなったのですが、多分この位置が互いに座り心地が良いのです。異性の親子は、かなり許し合え、心が通いやすいからかもしれません。すなわち容易に「喜ぶ人と共に喜べて、泣く人と共に泣ける」のです。
そのようにして、息子が成長して自分の伴侶を探すときに、どうしても母親のイメージ(顔ではありません。性格のほう)で相手を探し、娘が成長して自分の伴侶を探せば、父親のイメージ(当然、顔ではありません)で相手を探し、この人では、と思いながらお付き合いが始まるのです。
けれど、結婚前は互いにそのイメージは殆ど前面に出て来ません。脳内恋愛ホルモンと呼ばれるオキシトシンの仕業でしょうか、相手に一所懸命に尽くすのです。相手の笑顔は私の笑顔、相手の悲しみは私の悲しみ、まさに「喜ぶ人と共に喜び、悲しむ人と共に悲しむ」のです。そして、めでたく結婚。私もこれまで何組も結婚式を行いました。式の中で、「嬉しい時も、悲しい時も、その思いを分かち合いますか?」と聞きますと、なんと二人とも「はい」と真面目に答えるのです。当たり前ですが。
いよいよ、幸せな結婚生活のスタートです。とは言え、偉い先生がこう教えて下さいました。「結婚生活は三日目、三か月目、三年目に危機がやって来る。三年目以降は、毎日が危機である。」そうかな?と思いますか、そうだ!と思いますか。その真偽はわかりませんが、もし、危機かなと思っている方がいたとしたら、どうぞ思い出して下さい。「相手が喜んでいる時に、私も喜んでいるか。相手が悲しんでいる時に、私も悲しんでいるか。」長い夫婦生活、互いに向き合って生活していると結構疲れるのです。だから、映画を見る時のように同じ方向を見ていきましょう。方向が同じだと、喜びも悲しみも共有しやすようです。そんな二人に神様がいつも一緒にいて下さいます。皆さん、いい夫婦生活を過ごしていきましょう。